世界遺産の登録基準への該当性 4
最近の世界遺産を目指す各自治体の物件は、文化的景観を付記しての申請が目立っている。
1992年に「世界遺産条約履行のための作業指針」の中に、文化的景観の概念を加えたため、先ずは日本の暫定遺産リストに登録されるべく各自治体が作成している「世界遺産の登録基準への該当性」の「類似遺産との比較」の項目には、全てといっていいほど2004年に文化的景観を含む世界文化遺産として登録された、
「紀伊山地の霊場と参詣道」との比較を記載されている。
各推薦文の「類似遺産との比較」の項目はとても面白いです。
参考までに「紀伊山地の霊場と参詣道」との比較部分だけを抽出します。
鳥取県の「三徳山」の推薦書
(2008年現在、暫定リストには登録されていないが、継続審議物件となり、「三徳山-進行の山と文化的景観」と登録名を変更している)
*原生的な自然林が広範囲に良好に残されている三徳山と異なり、「紀伊山地の霊場と参詣道」は、人工的な植林が多くを占めている・・・・・
長野県の「妻籠宿・馬籠宿と中山道」の推薦書
*いわゆる熊野参詣道は、古代からの信仰の道であるが、まさに参詣のための道で宿泊施設も巡礼者が対象である。
それに比して中山道は政治・経済・文化全ての面においてのわが国の幹線道路で、宿場には大名・公家から庶民に至るまで、身分や経費に対応した宿泊施設が完備していた・・・・・
推薦書の全文も掲載している、山梨県・静岡県の「富士山」の推薦書
*「紀伊山地の霊場と参詣道」は、信仰の山としての文化的景観に係る世界遺産といえるが、「富士山」は、信仰の山としての文脈に加え、芸術など創造的な優れた作品を生む母体となった文化的景観についての価値をも有する・・・・・
他にも、「霊峰白山」や「若狭小浜」・「飛騨高山」等の推薦書にも「紀伊山地の霊場と参詣道」との比較の記述がなされている。
これは、端的にいえば、既に世界遺産登録を勝ち取っている、「紀伊山地の霊場と参詣道」よりもこっちの方が優れているから、おらが町の物件も登録してよ!という話である。
「紀伊山地の霊場と参詣道」自体も、1993年に「道」としての考え方で、世界文化遺産に登録された、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼道」を真似て、そのような登録の方法があるのなら、紀伊山地の霊場と参詣道も登録できるだろう!、ということでしょう。
ただ、ここで、一つ押さえておかないといけない重要なことは、この物件も政治がらみであとうと想定されることである。
「石見銀山」の逆転登録が、自民党の牙城であり、竹下登前首相の地盤の島根県であることと同じように、「紀伊山地」は和歌山県にあります。
和歌山といえば、運輸族(観光族)のドンで、運輸大臣も2期勤めた「二階俊博代議士」の地元である。
運輸大臣だけでなく、観光振興議員連盟会長なども勤めており、まさに地元の観光振興に一肌脱いだということであろう。
紀伊山地が登録された、2004年といえば、一般にも世界遺産もかなり認知されてきたころである。
どうして紀伊が登録されたのか?と疑問に思った人も多かったと思います。
なので、いくら登録を目指している自治体の推薦書で「紀伊山地」より優れていると記載しても意味がないのです。
世界遺産登録への早道は、環境を整備するより、地元出身の利益誘導型の力の強い運輸族の国会議員を選出することです(笑)
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