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世界遺産の登録基準への該当性 2

世界遺産の登録基準への該当性のコラムで記しましたとおり、若干長くなりますが、実際の推薦文書にどのように「登録基準への該当性」が記載されているでしょうか?

惜しくも、日本の世界遺産「暫定リスト」から2008年12月に漏れましたが、新潟県から推薦されていた「金と銀の島、佐渡」(新潟県)から提出された文書を全文載せます。

--(以下、推薦文原文)--------------------

【世界遺産の登録基準への該当性】

1 遺産の適用種別及び世界文化遺産の登録基準の番号

1) 遺産の種別

文化遺産
記念工作物、建造物群、遺跡(文化的景観)

2) 世界文化遺産の登録基準の番号

ⅱ) 中世末から近代に至るまで、400 年以上にわたり我が国の金銀生産を牽引してきた佐渡金銀山は、各時代で国内外の最新鉱山技術を取り入れて金銀生産システムを発展させてきた。
それらは国内各地の鉱山へも伝播し、近世日本の貴金属生産を支えるとともに、明治時代以降には東アジアにおける鉱山開発にも大きく寄与するなど、鉱山技術の世界的な交流過程を顕著に示している。
ⅲ) 佐渡島に現在も数多く残されている鉱山に起因する記念工作物や遺跡、文化的景観などは、我が国の貴金属鉱山の歴史と構造のすべてを典型的に示す物証として希有な存在である。
ⅴ) 鉱山の生産活動に伴って形成されてきた都市・集落・街道・農地・森林・海域などの資産は、その後も島民の生活基盤として優れた土地利用形態を示し、豊かな自然とあいまって独特の景観を形成している。
ⅵ) 鉱山の繁栄に伴い、島外各地からもたらされた様々な文化は在来の文化と融合し、島という地理的特性の中で独特で多様な島嶼文化をつくり上げた。
特に鉱山の繁栄を願う神事芸能は佐渡でしか見られないものである。これらは島民によって永く伝承され、佐渡は文化・芸能の島として広く知られている。

2 真実性/完全性の証明

佐渡金銀山には、鉱山技術と社会基盤の歴史的な発展の過程を示す鉱山遺跡群、建造物群、都市・集落・農村などによる文化的景観が良好に現存する。
また、様々な時代の文書や絵図・絵巻・図面など多数の典拠となる資料によって、鉱山技術の価値や変遷を証明することができ、周辺の環境とともに資産の真実性は極めて良好に保存されている。
なお、構成要素の大半は現時点において未指定の文化財であるが、今後の指定により資産の完全性を担保できるよう適切な措置を講ずることとしている。

3 類似遺産との比較

1) 鉱業には各種の技術が集積されるが、鉱山の繁栄はごく短期間であることが多く、東アジアの貴金属鉱山においても、技術の変遷を証明できる鉱山は少ない。
しかし、佐渡金銀山では長期間にわたり世界各地から最新の技術が集約され、掘削技術だけでも砂金採取・露頭掘り・坑道掘り・階段掘り・竪坑といった変遷が、中世末から近代までの現存する遺跡によって確実に証明されている。
今後は、国内及び世界の鉱山との比較研究をさらに進め、鉱山技術の交流や発展過程をより明確化していくことが必要であると考えている。
2) 国内に存在する多数の貴金属鉱山の中でも、石見銀山と佐渡金銀山は江戸幕府直轄領としての歴史的背景、規模・技術の集積度などにおいて傑出している。しかし、石見銀山の最盛期は 16~17 世紀と短期間であったが、佐渡金銀山はその産出量において国内第 1 位の歴史が数百年にわたって続いたため、石見銀山には見られない歴史的な発展過程を示す建造物・遺跡・景観・文化が存在する。
また、江戸初期から幕末まで一貫して奉行所が置かれたことは、幕府が佐渡金銀山をとりわけ重視した証左ともいえる。
さらに、明治政府においても、多額の資金を投資するなど佐渡鉱山を重視していたことは明らかである。
今後は、佐渡に残る各構成資産の研究を一層深め、佐渡金銀山の資産価値をより明確にする必要があると考えている。

---(以上)-----------------------

いかがでしょう?
やはり、この推薦文からも世界遺産登録は厳しいな・・・というのが素直な感想です。
日本政府が2008年12月15日の世界遺産条約関係省庁連絡会議において、暫定リストにも記載しなかったのは賢明な判断だと思います。

世界遺産は、最高のものの中の最高でなければならないのです。
それこそが、「顕著な普遍的価値」です。

全ての物件の推薦には、3番の「類似遺産との比較」の記述が求められます。
前年に登録された、「石見銀山」より「佐渡」の方が優れているということを必死でアピールしてます。

2005年に、知床が世界遺産に推薦した時には、登録基準(クライテリア)の7番の「 類例を見ない自然美および美的要素をもつ優れた自然現象・・・」
も登録するように求めたが、類似遺産としてロシアの「カムチャッカ火山群」が、既に7番を含めて自然遺産に登録されていたため、却下されている。

そのように、「類似遺産との比較」というのは、今後の世界遺産登録にあたって、重要なポイントです。

そう考えれば、後から申請するほうがはるかに不利であることは間違いない事実です。

そのような意味からも、何度も述べてますが、過去の登録(登録基準)の抜本的な見直しを早急にすべきであると思います。

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